講演会「祖父・清六から聞いた兄・賢治」を聞いてきました

2013年7月13日、宮沢和樹さんの講演会に行ってきました。和樹さんは、賢治の弟・宮沢清六さんのお孫さんです。花巻にあるお店・林風舎の代表取締役でもあります。今回は、講演会のお話や会場の様子などをまとめてみようと思います。内容が変わらないように気を付けて書きましたが、表現が変わってしまっている所があったら申し訳ありません。
世田谷文学館では「没後80年 宮沢賢治 詩と絵の宇宙 雨ニモマケズの心展」(2013.7.13~9.16)が開催されていて、講演会はその初日に行われました。
【人数・客層】
定員は先着150名で、当日12:30から整理券を配っていました。ゆるゆると整理券は捌けて、開始時間の14:00前にはほぼ席が埋まり、係の人が追加でさらに椅子を並べていました。客層は、若い方から年配の方まで幅広く、男性も女性もいらっしゃいました。老若男女関係なく、賢治作品が親しまれていることが肌で感じられました。
【和樹さんの印象】
穏やかな口調で話される方です。面立ちが賢治と少し似ていると思いました。「賢治さん」とさん付けで賢治のことを話されていました。さん付けで呼ぶと身近な人に感じて、なんだかいいですね。
【賢治の人柄】
“固いイメージや、「雨ニモマケズ」のストイックなイメージがあるが、いつも人を楽しませることを考えているような、本当に楽しい人だった。”
“良く使われる、うつむいて後ろで手を組んでいる写真は暗いイメージがあるが、実はベートーベンの真似をして撮った写真。写真館をやっている後輩に、カメラを外に持ってこさせて撮った。当時、外で写真を撮るのは大変で一般的ではなかった。”

賢治のユニークで先進的な人柄が垣間見えます。
【賢治とファッション】
“賢治は坊主頭だが、これは決して宗教上の理由ではない。教員時代にオールバックにしていたこともあったが似合わなかった。一番似合うのが坊主だったのでこの髪型にしていた。”
“鹿革のジャケットを着たり、ツイードの服を着たりしていて、とてもお洒落だった。”
作品中に「天蚕絨」「フロックコート」「鳥打帽子」などファッションの言葉がたくさん出てくることからも、賢治がお洒落だったことがうかがえます。
【科学者としての賢治】
“賢治作品はメルヘンチックなイメージがあるが、賢治は理由が無い事は一切書かない。賢治の生きていた時代、二酸化炭素が増えて温度が上がるなんて知られていなかった(グスコーブドリの伝記のエピソード)。祖父は「今後、もっと意味がわかることがあるかもしれない」と言っていた。96年に、毛利衛さんが祖父に会いに来て言った。「スペースシャトルから、宇宙から地球を見てきた。銀河鉄道の夜に描写されている風景は、まさに自分が見た風景だった。なんで賢治は知っていたんでしょうか」祖父は、「多分見えたんでしょうな」と言った。それを聞いて毛利さんもうんうんと頷いていた。多分、「賢治の科学者としての目が宇宙を見ていた」祖父の言葉はそういう意味だと思う。”
これからもっと科学が進んで、現在わかっていない事が明らかになったら・・・。「賢治のこの話はこのことを言っていたんだ」なんてことがあるかもしれません。
【広がる賢治の世界】
あまちゃんに「星めぐりの歌」が使われていて、和樹さんも毎朝見ているそうです。他にも平成狸合戦ぽんぽこには「双子の星」が入っていたりとか。“色んな分野の人達が賢治を表現してくれているので、山の裾野が広がっている。賢治自身より後の人が動いてくれているおかげで、賢治作品が生き続けている。”と仰っていました。
【空襲と原稿】
“賢治の原稿で変色しているものは空襲が原因。昭和20年8月10日、花巻は空襲に遭った。賢治の家、遺品、本、衣服全部焼けた。祖父は賢治の原稿の半分を防空壕へ、半分を土蔵にわけた。そのおかげで今作品が読める。防空壕は無傷だった。土蔵はネズミの穴が空いていて蒸し焼きになった。きれいなものと変色しているものと2種類あるのはその為。”
原稿が茶色いのは古いからだと思っていたので驚きました。清六さんが命がけで守ったと思うと、今こうして原稿を見られることは本当に貴重なことなんだと実感します。
【イーハトーブとは】
“イーハトーブを岩手県は観光的に使いたい。でも賢治はそういう風に確定したくない。今いる場所をなんとか良くしようとする事がイーハトーブ。どこと決めてしまうのは一番嫌がっていた。”
「賢治を感じるために賢治関連の施設がたくさんあるイーハトーブ=岩手に行かなくては」とどこかで思っていました。今いる場所をイーハトーブにすることについて考えてみたいです。
他にも色々なお話をされていました。お話を聞いた感想ですが、賢治ファンとしては本で読んだことのあるエピソードや全く初めて聞く話などを実際に目の前で聞くことが出来て、とても感慨深かったです。
【おまけ】

世田谷文学館の入り口です。

全景。ガラス貼りの近未来的な建物です。

中庭の鯉。静かでゆっくりとした時間が流れています。

賢治のシルエットがいろんな所に隠れていました。

ゴジラと賢治。

チラシ、チケット、図録。東逸子さんの絵が素敵です。展示の内容は前回行った横浜の展覧会と同じでした。
・世田谷文学館
展示期間中、関連イベントが開催されています。
・アート・ベンチャー・オフィス・ショウ
展示は引き続き全国を巡回予定です。スケジュールを確認できます。
・林風舎
宮沢和樹さんの経営するお店を訪ねました。
定員は先着150名で、当日12:30から整理券を配っていました。ゆるゆると整理券は捌けて、開始時間の14:00前にはほぼ席が埋まり、係の人が追加でさらに椅子を並べていました。客層は、若い方から年配の方まで幅広く、男性も女性もいらっしゃいました。老若男女関係なく、賢治作品が親しまれていることが肌で感じられました。
【和樹さんの印象】
穏やかな口調で話される方です。面立ちが賢治と少し似ていると思いました。「賢治さん」とさん付けで賢治のことを話されていました。さん付けで呼ぶと身近な人に感じて、なんだかいいですね。
【賢治の人柄】
“固いイメージや、「雨ニモマケズ」のストイックなイメージがあるが、いつも人を楽しませることを考えているような、本当に楽しい人だった。”
“良く使われる、うつむいて後ろで手を組んでいる写真は暗いイメージがあるが、実はベートーベンの真似をして撮った写真。写真館をやっている後輩に、カメラを外に持ってこさせて撮った。当時、外で写真を撮るのは大変で一般的ではなかった。”

賢治のユニークで先進的な人柄が垣間見えます。
【賢治とファッション】
“賢治は坊主頭だが、これは決して宗教上の理由ではない。教員時代にオールバックにしていたこともあったが似合わなかった。一番似合うのが坊主だったのでこの髪型にしていた。”
“鹿革のジャケットを着たり、ツイードの服を着たりしていて、とてもお洒落だった。”
作品中に「天蚕絨」「フロックコート」「鳥打帽子」などファッションの言葉がたくさん出てくることからも、賢治がお洒落だったことがうかがえます。
【科学者としての賢治】
“賢治作品はメルヘンチックなイメージがあるが、賢治は理由が無い事は一切書かない。賢治の生きていた時代、二酸化炭素が増えて温度が上がるなんて知られていなかった(グスコーブドリの伝記のエピソード)。祖父は「今後、もっと意味がわかることがあるかもしれない」と言っていた。96年に、毛利衛さんが祖父に会いに来て言った。「スペースシャトルから、宇宙から地球を見てきた。銀河鉄道の夜に描写されている風景は、まさに自分が見た風景だった。なんで賢治は知っていたんでしょうか」祖父は、「多分見えたんでしょうな」と言った。それを聞いて毛利さんもうんうんと頷いていた。多分、「賢治の科学者としての目が宇宙を見ていた」祖父の言葉はそういう意味だと思う。”
これからもっと科学が進んで、現在わかっていない事が明らかになったら・・・。「賢治のこの話はこのことを言っていたんだ」なんてことがあるかもしれません。
【広がる賢治の世界】
あまちゃんに「星めぐりの歌」が使われていて、和樹さんも毎朝見ているそうです。他にも平成狸合戦ぽんぽこには「双子の星」が入っていたりとか。“色んな分野の人達が賢治を表現してくれているので、山の裾野が広がっている。賢治自身より後の人が動いてくれているおかげで、賢治作品が生き続けている。”と仰っていました。
【空襲と原稿】
“賢治の原稿で変色しているものは空襲が原因。昭和20年8月10日、花巻は空襲に遭った。賢治の家、遺品、本、衣服全部焼けた。祖父は賢治の原稿の半分を防空壕へ、半分を土蔵にわけた。そのおかげで今作品が読める。防空壕は無傷だった。土蔵はネズミの穴が空いていて蒸し焼きになった。きれいなものと変色しているものと2種類あるのはその為。”
原稿が茶色いのは古いからだと思っていたので驚きました。清六さんが命がけで守ったと思うと、今こうして原稿を見られることは本当に貴重なことなんだと実感します。
【イーハトーブとは】
“イーハトーブを岩手県は観光的に使いたい。でも賢治はそういう風に確定したくない。今いる場所をなんとか良くしようとする事がイーハトーブ。どこと決めてしまうのは一番嫌がっていた。”
「賢治を感じるために賢治関連の施設がたくさんあるイーハトーブ=岩手に行かなくては」とどこかで思っていました。今いる場所をイーハトーブにすることについて考えてみたいです。
他にも色々なお話をされていました。お話を聞いた感想ですが、賢治ファンとしては本で読んだことのあるエピソードや全く初めて聞く話などを実際に目の前で聞くことが出来て、とても感慨深かったです。
【おまけ】

世田谷文学館の入り口です。

全景。ガラス貼りの近未来的な建物です。

中庭の鯉。静かでゆっくりとした時間が流れています。

賢治のシルエットがいろんな所に隠れていました。

ゴジラと賢治。

チラシ、チケット、図録。東逸子さんの絵が素敵です。展示の内容は前回行った横浜の展覧会と同じでした。
・世田谷文学館
展示期間中、関連イベントが開催されています。
・アート・ベンチャー・オフィス・ショウ
展示は引き続き全国を巡回予定です。スケジュールを確認できます。
・林風舎
宮沢和樹さんの経営するお店を訪ねました。
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