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初音ミクと冨田勲がコラボした「イーハトーヴ交響曲」を特集した番組は一見の価値あり

20130219初音ミクイメージ
先日2013年2月9日深夜、ETV特集「音楽で描く賢治の宇宙 ~冨田勲×初音ミク 異次元コラボ~」という番組が再放送されました。とても充実した内容で、賢治ファンにも楽しめる番組だったので、内容の紹介と感想を書きたいと思います。番組を簡単に説明すると、初音ミクとオーケストラが初めてコラボした「イーハトーヴ交響曲」について様々な角度から探る内容です。公演当日の様子と、楽曲が出来るまでの試行錯誤や、作者の想いを描いています。



イーハトーヴ交響曲について
作曲家の冨田勲さんが描き上げた交響曲で、2012年11月23日、東京初台にある東京オペラシティコンサートホールで世界初演公演が行われました。1500枚のチケットは早々と完売、会場には「チケット譲って下さい」の紙を持ち立つ人の姿も。※番組内ではアンコールは放送されていません。

イーハトーヴ交響曲
1 岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>
2 剣舞/星めぐりの歌
3 注文の多い料理店
4 風の又三郎
5 銀河鉄道の夜
6 雨にも負けず
7 岩手山の大鷲<種山ヶ原の牧歌>
(アンコール)
8 リボンの騎士
9 青い地球は誰のもの
(引用曲)
風の又三郎(杉原泰蔵)
フランスの山人の歌による交響曲(ダンディ)
交響曲第2番から第3楽章(ラフマニノフ)

指揮:大友直人
ヴァーチャルシンガー:初音ミク(演奏:篠田元一)
パーカッション:梯郁夫
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団

↓公演の様子をダイジェストで見られます





冨田勲について
1932年4月22日生まれ、80歳の作曲家です。20歳で作曲家としてデビューし、テレビやラジオのテーマ曲を担当、数多くの名曲を生み出している。あの耳慣れた「きょうの料理のテーマ」も冨田さんの作品です。

1969年、大阪で当時最新の電子楽器モーグシンセサイザーと冨田さんは出会います。モーグは、電気的振動を発生、変調、制御することで音を一から合成し、新しい音色を生み出すことの出来る楽器です。このモーグを使って、1974年にアルバム「月の光」を発表。このアルバムがアメリカビルボードのクラシックチャートで1位を獲得。日本人として初めての快挙でした。

当時、どうしてもシンセサイザーに喋らせてみたかった冨田さん。しかし、その時の技術ではパ行を歌わせることが精一杯。それが、今回初音ミクに歌わせることでやっと果たせるんですね。




冨田勲と宮沢賢治の出会い
冨田さんが賢治の作品と出合ったのは1940年、映画「風の又三郎」を観た時です。日本が世界と戦争する噂が立ち始めた頃で、そういう怖さのような印象が映画と共に残っているそうです。

1941年、冨田さんが9歳の時に太平洋戦争が開戦。戦争で多くの人達が亡くなる中、1945年1月三河地震が発生(冨田さんは当時、愛知県岡崎市に住んでいた)。戦時下のため、救援物資はほぼゼロ。冬で凍え死ぬ以外ない状況。亡くなっていく人の姿をただ見ている事しか出来ません。

そんな時、希望を与えてくれたのが「銀河鉄道の夜」だったとか。サウザンクロスのシーンで賛美歌を歌いながら天に昇っていく人達。それが地震で亡くなった人たちの姿と重なったのかもしれませんね。

「例えば宇宙であるとか、なにか四次元のとんでもない世界の方に持って行かれてしまう」そんな賢治の世界。それを音楽で表現することが、冨田さんの子供の頃からの夢だったそうです。




イーハトーヴ交響曲を作るキッカケ
冨田さんの親戚、西澤潤一さんから「雨ニモマケズに曲を付けて欲しい」と依頼されたのがキッカケだそうです。依頼はかれこれ10年前の事。そのことがずっと頭にありつつ、2011年に東北で震災が起きました。少年時代に三河地震を体験している冨田さんは、東北の人達のために何かしなければと思いました。それに子供の頃からの夢と西澤さんへの責務が加わり、そして曲をつくるに至ったワケです。

冨田さんは、西澤さんから贈られた「雨ニモマケズ」の額縁を持っていましたが、こちらは同じものがイーハショップで購入可能です。




初音ミクの起用
賢治の異次元の世界を表現するにはエンターテナーが必要だと思っていた冨田さん。そんな折、偶然テレビで初音ミクを見付けました。
冨田「パソコンの中にしかいられない。ミクロの世界。これが異次元からきた人間と置き換えたようなものじゃないか」
後楽園で初音ミクのコンサートがあると知り、冨田さんは会場に足を運びました。そして、ミクの必要性を確信し、起用を決めました。

(初音ミク:クリプトン・フューチャー・メディアから発売されている音声合成ソフト。インターネットを中心に人気を集め、曲やイラストなど様々な作品が発表されている)




作曲の苦悩
オーケストラの譜面は、その位置で楽器の音が頭に入っている為、手書きでないとダメだという冨田さん。オーケストラの譜面は38段。1段が5mmなので、五線それぞれの幅は1mm。80歳という高齢の冨田さんには辛い作業です。分厚いレンズの老眼鏡を3つ並べ、代わる代わる眼鏡をかけながら譜面を書きます。目への負担は想像に難くありません。




ミク開発の試行錯誤
ミクがオーケストラと歌う為には、新しいシステムの開発が必要となりました。オーケストラの指揮のテンポは一定ではないので、リアルタイムでミクのテンポを指揮に合わせなければならないからです。(従来のミクは、途中でテンポを変えられません。)そこで、ミクの開発をテクノミュージシャンのことぶき光さんに依頼することになりました。冨田さんとことぶきさんの話し合いで、「指揮のテンポをミクに伝える役」としてキーボード奏者を頼むことに決まりました。

本番2カ月前、ことぶきさんが最初に作ったシステムを冨田さんが確認します。ミクの歌声がプツプツと切れ、不自然なため冨田さんは納得出来ません。そこで、キーボード奏者の篠田元一さんが新しい提案をしました。その方法でやることに決まりましたが、それには膨大な作業が必要で、エンジニア達は徹夜の作業が続きました。イーハトーヴ交響曲のプロジェクトが成功したのは、こうして開発に携わった多くの人たちの、影の努力と苦労があったおかげなんですね。

この作業はイーハトーヴ交響曲だけでなく、この後のミクのコンサートの多様性にも繋がるものだと冨田さんは考えているようです。

それは、ミクの映像開発チームも同じで、映像のテンポを自在に変えられるシステムの開発が進めば、ファンの声援にミクが応えることも可能になるのでは、と語っていました。とても夢のある話です。




公演の様子
最初と最後の「岩手山の大鷲」には、冨田さんは特別な思い入れがあるといいます(それについては後述で詳しく説明します)。最後にはミクと合唱が綺麗にハモります。

「剣舞・星めぐりの歌」では、笛や太鼓の音、掛け声が剣舞を踊っている様子をありありと表現しています。

「注文の多い料理店」が始まると、オーケストラの後ろの赤いたれ幕が上がり、半透明で投影されるミクが初めて登場します。ミクは山猫の役のようで、猫のようにグーにした手で、猫っぽい動きのダンスを踊ります。小さなシルクハットに猫耳といういでたち。ニャーと鳴く場面も。服はアレンジされていますが、デフォルトのミクの衣装とあまり変わらないデザインです。賢治の世界にはレトロな雰囲気があるので、もっとアレンジしてしまってもいいかなと思いました。色んな人のイラストを見ていると、髪の色を変えてしまっている人もいるので、思い切って変えてしまっても良かったかなとも思いました。デジタルの音質が賢治の世界と合うのか心配しましたが、ミクの声が擦れたように聴こえ、デジタルっぽさをあまり感じず、とても合っていました。

「風の又三郎」ではミクは又三郎の役。ウグイス色のコートとかぼちゃパンツ。茶色いマフラーと茶色のブーツです。この衣装は好きですね。ミクが主旋律を歌い、合唱がそこに重なります。

「銀河鉄道の夜」のミクは、白の短いワンピース。二の腕から下の袖とハイソックスは黒。「ケンタウルス露を降らせ」と歌います。合唱が賛美歌を歌い、サウザンクロスのシーンを描きます。

「雨にも負けず」ではミクは登場しません。合唱のみでずっしりと仕上げています。




イーハトーヴを訪れる冨田勲
本番の一カ月程前、冨田さんはイーハトーヴを訪れています。

昼間のめがね橋を訪れる冨田さんが、銀河鉄道の夜への想いを語ります。そして、夜のライトアップされためがね橋を列車が通る映像も流れます。自分も訪れましたが、列車が通っている所は見たことがなかったので。これを見て、賢治が銀河鉄道を思いついたのがとてもよくわかりました。本当に列車が空を飛んでいるよう。銀河鉄道そのものです。

宮沢賢治記念館を訪れた場面では、中の様子も映されています。館内は通常撮影禁止なので、番組で中の様子が見られるのは嬉しいですね。展示してある雨ニモマケズ手帳のレプリカを見て、西澤さんの知人の佐々木さんが「私も複製を持っています」とレプリカをポケットから出しました。私も持っています!と思わず言いました(笑)。少し誇らしい気分です。

そして今回の旅で、冨田さんがどうしても訪れたかった場所は「岩手山」です。学生の頃、電車の窓から見える岩手山を、地元の人達が「鷲だ。鷲だ。」と騒いでいたとのこと。岩手山の頂上、雪が溶けて黒く地表が見えた部分が鷲の形に見えるのだそうです。地元の人にとって、この大鷲は、春の訪れを知らせる守り神のような存在なんだとか。交響曲の最初と最後に「岩手山の大鷲」を持ってきたのはこういった理由からだったんですね。




番組の感想
番組の端々に、賢治の写真や直筆原稿、岩手の風景が流れ、それだけでもかなり満足のいく番組でした。そして、イーハトーヴ交響曲も、賢治の世界を見事に音楽で再現していて、素敵でした。番組内では部分的にしか曲を見られなかったので、全体を通して見てみたくなりました。踊っているミクの映像と合わせて観たいので、DVDが欲しい所ですが、今のところCDのみ出ているようです。
もっと早く公演のことを知っていれば…。なによりも生で観てみたかったです。




【ETV特集】音で描く賢治の宇宙~冨田勲×初音ミク 異次元コラボ~
 番組サイトです。

イーハトーヴ交響曲 - 日本コロムビア 公式サイト
 コロムビアの公式サイトです。

ビルボードクラシックス ライブレポート
 ライブレポートを読めます。

イーハショップ
 番組内に登場する「雨ニモマケズ」のレプリカ手帳と額縁が購入可能です。

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テーマ : 初音ミク | ジャンル : 音楽

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公演情報他

ご存知かもしれませんが、ご参考まで。

・「イーハトーヴ交響曲」再演(8月29日花巻市他)
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1304/26/news124.html

・公演放送5月4日23:00-23:45Eテレhttp://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2013-05-04&ch=31&eid=7191

公演放送にあわせて、
ETV特集「音楽で描く賢治の宇宙 ~冨田勲×初音ミク 異次元コラボ~」
を、5月4日0:45(金曜深夜)から再放送。


最後ですが、放送内容のポイントを突いたまとめ&補足ありの、素晴らしいブログに、大拍手!!(アイコンがない)

Re: 公演情報他

公演放送のことは知らなかったので助かりました。放送が楽しみです。
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